作りかけを壊さない贅沢と、教育のプロに褒められた家

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幼少期の記憶:プラレール専用の部屋があった友だち

子どものお友達の家に伺うと、家庭ごとにいろいろな「住まい」の形がありますよね。

最近、ふと自分の幼少期の記憶が蘇りました。 2世帯住宅で10部屋以上もある豪邸に住んでいた、ある友人のこと。 彼はプラレールが大好きで、なんと1部屋まるごと「プラレール専用部屋」にしていたんです。

当時は「いいなぁ、すごいなぁ」くらいにしか思いませんでしたが、親になった今、その光景を思い返して気づいたことがあります。

それは、「遊び(学び)を中断させない」ことの、計り知れない価値です。

夢中で何かを作り上げているとき、子どもの脳はフル回転しています。 創造力、集中力、そして試行錯誤。 そんな「最高の学び」を、「ご飯だから片付けて」「掃除に邪魔だから壊して」という大人の都合でリセットしないこと。

今回は、地方の広さを活かした「作りかけを壊さない贅沢」、そして、そんな我が家を訪れた教育のプロに驚き、褒められたエピソードをお届けします。。

「片付けなさい」が子供のやる気を削いでいた?

とはいえ、現実は厳しいものです。 食事や寝る時間になれば「一度片付けて」と言わざるを得ない。さすがにプラレール専用に8畳一間をあてがうような生活は、多くの家庭にとって現実的ではありません。

ですが、工作やレゴの本質的な面白さは「昨日の続き」があることにあります。

苦労して形にしたものを一度壊してしまうと、翌日のモチベーションは半分以下、いや、ゼロになってしまうことすらあります。 子供が朝起きた瞬間、昨日の熱量のままに「続き」へ没頭できる環境を作りたい。

実はそれこそが、私が移住後の家づくりでどうしても叶えたかったことの一つでした。

「片付け」よりも「没頭」を優先する。 そのために我が家が作った「出しっぱなしスペース」のルールについてお話しします。

広い家だからできる「出しっぱなしOK」の特権

かつて我が家が都心で住んでいた1LDKやコンパクトな住まいでは難しかった、工作やレゴの「作り途中」をそのままにしておける「出しっぱなしスペース」を作るったのです。そのスペースなら何をどんなふうに置いておいてもOKという場所を作り、夕飯前や寝る前にまだ壊したくない制作物はそこに置く。普通の家なら「寝る前には片付けて」と言われる場所。 でも我が家では、制作途中のレゴのお城も、ボンドが乾ききっていない段ボールの迷路も、そのままの姿で夜を越します。

この「戦略的な出しっぱなし」には、実は3つの明確なメリットがあります。

  1. フロー状態の「セーブ」機能 朝起きてすぐに「昨日の続き」に入れることで、集中力のギアが最初からマックスになります。「片付けなさい」で魔法を解かず、朝一番で続きができる環境は、子供の深い没入感を育てます。
  2. 思考の「熟成」 ふとした瞬間に制作物が目に入ることで、「あ、あそこはこうすればいいかも!」という新しいアイデアが湧きやすくなります。
  3. 「作品」へのリスペクト 「出しっぱなしでいいよ」と言うことは、子供にとって「あなたの頑張りを認めているよ、大事に思っているよ」という無言のメッセージになります。

そういえば、我が子が通っていた幼稚園も、いつもどことなく「ごちゃっ」とした印象がありました。でも、子供たちが作った大きな段ボールハウスは何ヶ月もそのまま置かれていたんです。今さらながら、あれは子供たちが遊びに打ち込むための、最高の環境だったのだと気づかされました。


教育のプロが漏らした、忘れられない一言

我が子が4歳の頃。 ワンコインの体験レッスンで自宅に来てくれた英会話の先生は、部屋の戸を開けるなり「わあ、子供のものだらけですね!」と、その光景に驚かれていました。

さすがに来客時なので、あちこちに物が散乱していたわけではありません。それでも、リビングの一角を占拠する「出しっぱなしOK」の工作スペースや、壁一面を埋め尽くす巨大な本棚の存在感は、初対面の方には衝撃的だったようです。

しかし、レッスンが始まり、子供が楽しそうに英語で話し、当たり前のように英語の本を広げて読む姿を見たとき、先生の表情がガラリと変わったのを覚えています。

私の住む地域は、幼児公文やおうち英語に取り組むご家庭がほとんどないような場所。英語の本を自ら読む我が子の姿は、先生の目には「スーパーキッズ」と映ったようです。

帰り際、先生がポツリと漏らした言葉。

「こういう環境が、こういう子を育てるんですね」

それだけではありませんでした。 実は先生、ご自身にも生まれたばかりのお子さんがいらっしゃったそうで、そこからは「一体どうやってこの環境を作ったんですか?」「本はどう選んでいるんですか?」と、一人の親として根掘り葉掘り質問攻めに(笑)。

プロが「自分の子にも真似したい」とまで思ってくれたその瞬間、この「出しっぱなし」こそが、地方の広い家を活かした我が家なりの正解なんだと確信することができました。

「片付けなさい」で魔法を解かない。 それが、我が家が広い家で叶えたかった、何よりの贅沢です。

【哲学】モデルルームのような家は、20年後でいい

もちろん、私だって雑誌に出てくるようなスッキリした北欧インテリアや、モデルルームのような美しい家への憧れがないわけではありません。

でも、今は「知育」に全振りする時期だと割り切っています。

壁を埋める知育ポスターも、床に広がる制作途中の残骸も、すべては今この瞬間にしか見られない「知の景色」。 子供が夢中で学び、遊び、成長している証拠です。

インテリアとしての完成は、子供が自立して、家の中が静まり返った後の楽しみに取っておけばいい。

「綺麗な家」を作るのはいつでもできます。でも、「子供の知的好奇心が爆発する環境」を作れるのは、今この瞬間しかないのです。

おわりに:カオスの中にこそ、未来が詰まっている


都会の限られたスペースでは、効率よく片付け、空間をリセットするのが正解かもしれません。でも、地方の広い家だからこそできる「子供の熱量をリセットしない知育」があってもいい。

大切なのは、部屋を綺麗に保つことではなく、子供の集中力の「魔法」を解かないことでした。

「出しっぱなし」の工作や、壁の知育ポスター。 それは一見、ただの「散らかった部屋」に見えるかもしれません。でもその景色は、子供が今この瞬間に、全力で知を広げ、試行錯誤している証そのものです。

モデルルームのようなスッキリした暮らしは、20年後に。 今は、この「知の景色」を楽しみながら、子供の好奇心をどこまでも伸ばせる環境を、この広い家で守り続けていきたい。

「片付けなさい」を飲み込んだ先に、子供の自立と、キラリと光る才能が待っていると信じています。

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